滋賀県老人福祉施設協議会職種別研修に登壇しました|介護・福祉現場で考えるAI活用と安全な運用

2026年9月3日、滋賀県老人福祉施設協議会様の職種別研修委員会研修にて、生成AI研修の講師を務めました。

今回の研修は、全2回シリーズ。

第1回は、

「生成AIで何ができる?」
― 介護・福祉現場のための基礎理解と活用実演 ―

をテーマに、県内の福祉施設から35名の皆様にご参加いただきました。

生活相談員、介護職、管理職・施設長など、日頃から福祉現場の実務に携わっている方々と一緒に、生成AIの基本から実際の業務への活用、安全に利用するための考え方まで学ぶ時間となりました。

目次

介護・福祉現場の実務を想定した生成AI研修

今回の研修では、単にChatGPTやGeminiなどの操作方法を紹介するのではなく、

「実際の福祉現場の仕事で、生成AIをどのように使えるのか」

をできるだけ具体的にイメージしていただけるよう、実演を中心に進めました。

たとえば、一つの会議メモをもとに、

  • 議事録を作成する
  • 欠席者向けの共有文を作成する
  • 家族向けの案内文を作成する
  • ポスターを作成する

 

といった流れをご紹介しました。

また、GoogleのNotebookLMを使い、制度資料や根拠資料を読み込ませながら必要な情報を整理する方法や、Word・Excel形式への出力、画像生成などについても実演しました。

生成AIは、単に文章を書くための道具ではありません。

長い資料を読み解く、情報を整理する、たたき台を作る、複数の形式へ展開する

といった、日々のさまざまな業務を補助することができます。

AIの答えをそのまま正解にしない

今回の研修で大切にしたことの一つが、

「AIが出した答えを、そのまま正解として扱わない」

ということです。

たとえば、実演ではNotebookLMに介護職員等処遇改善加算に関する資料を読み込ませ、その内容についてAIに整理させました。

その際、

「AIはこのように答えていますが、実際の現場ではどうでしょうか」

と、会場にいらっしゃった施設長の方にも意見を伺いました。

すると、

「制度上の説明としては間違っていないが、実際の施設運営ではそこまで給与改善が追いついていない」

という、現場ならではのお話をいただきました。

AIは、与えられた資料から情報を整理することは得意です。

しかし、

制度上正しいことと、現場の実態が一致しているとは限りません。

AIが出した答えと、現場で積み重ねてきた専門職の経験や判断を照らし合わせる。

こうした使い方も、生成AIを業務で活用するうえではとても重要です。

アンケートで最も関心が高かったNotebookLM

研修後のアンケート結果をご紹介します。

「第1回研修を通して、生成AIでできることを具体的にイメージできたか」という質問では、5段階評価で4または5を選んだ方が75%。

また、

「自分の業務の中で、生成AIやデジタルツールを活用できそうな場面を考えられるようになったか」

という質問でも、4または5が66.7%となりました。

そして、「特に参考になった内容」で最も多かったのが、

NotebookLMを使った制度資料等の活用 62.5%

でした。

続いて、

  • 生成AIが得意なこと・苦手なこと 56.3%
  • 生成AIの基本的な仕組み 50.0%
  • 個人情報や安全利用に関する内容 50.0%

という結果でした。

研修中は、皆様とても真剣に聞いてくださっていました。
アンケートから、特にNotebookLMや安全利用に関する内容への関心が高かったことが分かりました。

介護現場で負担になっているのは「議事録」と「シフト」

アンケートでは、現在の業務の中で特に負担に感じていることについても伺いました。

最も多かったのは、

  • 会議録・議事録の作成 66.8%
  • 勤務シフト・勤務調整 62.5%

でした。

そのほかにも、

  • 長い制度資料や通知の読み込み
  • 報告書・記録文書の作成
  • 職員・家族向け文書の作成
  • 引き継ぎ・情報共有
  • 必要な情報や過去資料を探す
  • 備品・消耗品の在庫管理

 

など、さまざまな業務負担が挙げられました。

自由記述でも、

「勤務表を作成したい」

「シフト変更時の作り直しを効率化したい」

「ケアプラン作成に活用できないか」

「会議録を標準化したい」

「研修資料を作りたい」

「施設内の物品管理や発注を効率化したい」

といった、非常に具体的なニーズが寄せられました。

こうした声から見えてくるのは、

「AIを使いたい」ということ自体が目的なのではなく、日頃負担になっている仕事を少しでも楽にしたい

という現場の思いです。

福祉施設で避けて通れない個人情報とAI議事録

今回の研修では、個人情報や安全利用についても時間を取ってお話ししました。

福祉現場では、利用者・家族・職員など、多くの個人情報を扱います。

そのため、

「名前を消せばAIに入力してよいのか」

「AI議事録を使う場合、録音したデータはどう考えればよいのか」

「個人情報をどこまでマスキングすればよいのか」

といった疑問が出てきます。

研修の最後には、施設長の方から、

「なぜAIに個人情報を入れてはいけないのか、もう一度説明してほしい」

という質問もありました。

私は現在、研修や導入支援を行う際には、基本的に個人情報を生成AIへ入力しない安全側の運用を行っています。

一方で、法律上、すべての生成AIへの個人情報入力が一律に禁止されているわけではありません。

利用するAIサービス、契約形態、情報の内容、利用目的、組織のルールなどを踏まえて考える必要があります。

ですので、

「個人情報は絶対ダメ」
「有料版だから大丈夫」

という単純な二択ではなく、

どの情報を、どのAIで、どの契約環境で、どのような目的で扱うのか

を、法人として整理していくことが重要です。

現場では、すでにAI利用が始まっている

今回、特に印象的だったのは、施設で働く専門職の皆様がすでに生成AIをかなり使い始めていることでした。

事務局の方々からも、

「AIを使った議事録作成を行っているが、この使い方でよいのか」

「個人情報をマスキングしているが、それでも文脈から本人が分かる可能性がある」

「施設としてAI利用規約を作ったが、安全を重視しすぎてAIが使えない内容になってしまった」

といった具体的な相談がありました。

これは、

「生成AIを導入するかどうか」

という段階ではありません。

すでに導入・利用が始まっていて、

「このままの使い方でよいのか」
「施設としてどう管理すればよいのか」

という次の段階へ進んでいるということです。

「使わないためのルール」ではなく「安全に使うためのルール」へ

生成AIを安全に利用しようとすると、

「個人情報は禁止」

「個人アカウントは禁止」

「このAIは禁止」

というように、禁止事項を増やしてしまいがちです。

もちろん、禁止しなければならない利用もあります。

しかし、禁止だけを積み重ねると、結果として職員が何も使えないルールになってしまうことがあります。

これから必要になるのは、「安全に使うための条件を整理すること」

ではないかと思います。

たとえば、

  • 法人として利用を認めるAI
  • 利用するアカウント
  • 入力してよい情報
  • 入力してはいけない情報
  • AIに任せてよい業務
  • 人が必ず確認する業務
  • AI出力の最終確認者
  • 問題が起きたときの相談先

などを決めていく必要があります。

第2回では「施設としてどう使うか」を考えます

第2回研修で知りたいことについて、アンケートでは、

  • 他施設のAI活用状況 62.5%
  • 日頃負担に感じている業務のAI活用 56.3%
  • AIに入力してよい情報・避けるべき情報 50%
  • 施設・法人として必要なルール 43.8%

といった回答が多くありました。

また、参加者同士で話したいテーマとして、

  • AIに手伝ってほしい業務
  • 現在使っているAIやデジタルツール
  • 日頃負担に感じている業務
  • 施設内のAI利用ルール
  • 職員研修や学び方

などが挙がっています。

そのため第2回では、

「自分たちの施設では、何をAIに手伝ってもらうのか」

「施設として何を決めておく必要があるのか」

を、参加者の皆様との意見交換を交えながら考えていく予定です。

介護・福祉現場の生成AI活用は「導入後」が大切

生成AI研修というと、

「ChatGPTの使い方」

「プロンプトの作り方」

「便利な機能」

といった内容を思い浮かべる方も多いかもしれません。

しかし、実際に現場で使い始めると、

「この情報を入力してよいのか」

「このAIを職員が使ってよいのか」

「AIの答えを誰が確認するのか」

「職員が個人で使い始めた場合、どう管理するのか」

「録音データや議事録をAIで扱ってよいのか」

といった、導入前には見えなかった課題が出てきます。

今回の研修を通して改めて感じたのは、介護・福祉現場の生成AI活用では、「使い方をお伝えする」だけではなく、「組織として使える状態をつくる」支援が必要だということです。

生成AIを入れること自体を目的にするのではなく、

まず、現場のどの仕事に負担があるのか。

その仕事は、AIで改善するのが適切なのか。

どこまでAIに任せるのか。

安全に使うために何を決める必要があるのか。

そこまで一緒に考えることが、現場に定着する生成AI活用につながります。

福祉法人・介護施設向け生成AI研修・導入支援を承っています

ハナサクAIでは、滋賀県を中心に、福祉法人・介護施設・社会福祉協議会等を対象とした生成AI研修・AIリテラシー研修・生成AI導入支援を行っています。

ChatGPTやGemini、NotebookLMなどの基本的な活用方法だけでなく、

  • 生成AIを安全に利用するための基礎知識
  • 個人情報・機密情報を扱う際の考え方
  • NotebookLMを活用した制度資料・法人内情報の整理
  • 日常業務の中からAI活用テーマを見つける支援
  • 法人として利用するAI・アカウント・ルールの整理
  • 職員研修から導入後の定着までの伴走支援

 

など、それぞれの法人・施設の現在地に合わせて内容を設計しています。

「職員がすでにAIを使い始めているが、法人としてどう整理すればよいか分からない」

「AI議事録を導入しているが、この使い方でよいのか確認したい」

「安全性を重視した規程を作ったら、AIをほとんど使えなくなってしまった」

「AI研修を行った後、現場で実際に使えるところまで支援してほしい」

といった段階からでもご相談いただけます。

滋賀県内をはじめ、関西エリアでの福祉法人・介護施設・社会福祉協議会等での

生成AI研修、AIリテラシー研修、生成AI導入支援について、

当HPトップページの「お問い合わせ」からお気軽にご相談ください。

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