

2026年8月20日、滋賀県児童成人福祉施設協議会様の事務職情報交換会にて、生成AI・AIリテラシー研修の講師を務めました。
会場は、滋賀県内の児童養護施設「鹿深の家」。
研修前には施設内を見学させていただき、施設長から、2年前に施設を全面改修された際のエピソードや、施設運営に込められた想いを伺いました。
施設で生活する子どもたち、そして日々生活を共にしながら支援に携わる職員の皆様の姿に触れたうえで、22名の参加者の皆様と生成AIについて学ぶ時間となりました。
福祉施設の実務を想定した生成AI・AIリテラシー研修
今回の研修では、生成AIを単に「便利なツール」として紹介するのではなく、福祉施設の実際の業務の中で、どのように安全に活用していくかを中心にお話ししました。
主な内容は、
- 生成AIの基本的な仕組みと使い方
- Geminiなどを使った文章生成の実演
- AIとの対話を重ねながら回答を改善する方法
- 個人情報や機密情報を扱う際の考え方
- NotebookLMを活用した規程・マニュアル等の情報整理
- AIの回答をそのまま信用せず確認するポイント
などです。
PowerPointでの説明だけでなく、実際の生成AI画面を使った実演や、参加者同士の意見交換、質疑応答を交えながら進めました。
「AIで何ができるか」以上に関心が集まったこと
今回、特に印象的だったのは、文章生成や画像生成といった機能そのものよりも、
「実際の仕事の中で、AIとどう付き合えばよいのか」
という部分への関心が高かったことです。
たとえば、実演でGeminiに議事録を作らせた際、最初に生成された内容が想定よりも簡略化されていました。
そこで、
「もっと詳細な議事録にしてください」
と追加で指示すると、内容が改善されました。
生成AIを使い始めたばかりの頃は、最初に出てきた回答を完成品だと思ってしまうことがあります。
しかし実際には、足りなければ追加で伝える。条件を変える。違っていれば修正してもらう。
一度の指示で正解を出そうとするのではなく、AIと対話しながら仕事で使える形へ近づけていくことも、生成AIを活用する大切なポイントです。
まずは自分が内容を判断できる仕事からAIを使う
研修では、
「最初は、自分がよく知っている仕事から生成AIを使ってみる」
というお話もしました。
生成AIは、時としてもっともらしい誤った回答をすることがあります。
そのため、自分自身に知識があり、
「これは使える」
「ここは少し違う」
と判断できる業務から利用を始める方が、AIの特徴を理解しやすくなります。
福祉職であれば、
- 文章の整理
- 会議内容の要約
- 研修資料のたたき台
- アイデア整理
- 既存資料の確認
など、自分自身で内容を評価できるところから始める方法があります。
生成AIを安全に活用するうえでは、セキュリティ設定や組織ルールだけでなく、「AIが出した答えを人が評価できること」も重要です。
福祉施設で避けて通れない個人情報の取り扱い
福祉施設で生成AIを活用するとき、大きなテーマになるのが個人情報です。
研修では、現在私自身が研修や導入支援を行う際には、
個人情報に関係する内容は、基本的に生成AIへ入力しない運用を基本としている
ことをお伝えしました。
これは、法律上すべての生成AIへの入力が一律に禁止されている、という意味ではありません。
利用するサービスや契約環境、情報の内容、組織内のルールなどによって判断は異なります。
一方で、福祉現場では支援記録や相談記録など、非常にセンシティブな情報を扱います。
「AIで処理できるか」という技術的な可能性だけではなく、
どの情報を、どの環境で、何の目的で扱うのか
を組織として整理することが重要です。
生成AIの導入では、「できるかどうか」と「組織として使ってよいかどうか」を分けて考える必要があります。
NotebookLMを使った法人内の規程・マニュアル活用
今回、参加者の皆様から特に関心が集まったものの一つが、GoogleのNotebookLMでした。
実演では、架空の福祉法人の内部規程などをNotebookLMへ登録し、
「職員が法人内の規程について質問すると、登録した資料をもとに必要な情報を探してくれる」
という使い方をご紹介しました。
福祉法人や福祉施設には、
- 就業規則
- 各種規程
- マニュアル
- 業務手順書
- 制度資料
- 研修資料
など、多くの文書があります。
資料自体は存在していても、
「どこに書いてあったか分からない」
「必要な箇所を探すのに時間がかかる」
ということも少なくありません。
NotebookLMのようなAIツールを活用することで、すでに組織内に蓄積されている情報を、必要なときに探しやすくすることができます。
単純な文章生成とは異なる、法人内の情報活用という生成AIの可能性を感じていただけた場面でした。
AIを入口に、勤務表・財務・情報共有など施設運営の話へ

研修後半には、参加者同士で情報交換を行いました。
質疑応答では、
「勤務表の作成にAIを使えないか」
「財務諸表をAIで分析できないか」
「有料版の生成AIを導入するメリットは何か」
「NotebookLMを施設へ導入するとき、どのような課題があるのか」
など、さまざまな質問が出ました。
さらに、職場のチャットツールによる情報共有について、
「泊まり勤務のある職場では、管理職の勤務時間外にも通知が届いてしまう」
という課題も共有されました。
生成AIが直接すべての問題を解決するわけではありません。
しかし、
「この仕事にAIを使えないだろうか」
という問いをきっかけに、これまで当たり前に行ってきた仕事の方法や、施設内の情報共有、業務ルールについて考えることができます。
今回の研修では、生成AIを学ぶことが、施設運営そのものを見直すきっかけにもなっていました。
福祉現場の生成AI研修では「操作方法のその先」が必要
生成AI研修というと、ChatGPTやGeminiの操作方法や、プロンプトの書き方を学ぶ研修をイメージされることが多いかもしれません。
もちろん、基本操作を知ることは大切です。
しかし、実際に職場で使い始めると、
「この情報はAIへ入力してよいのか」
「AIが出した答えをどこまで信用してよいのか」
「どの業務ならAIに任せられるのか」
「職員がバラバラに使い始めたとき、どんなルールが必要なのか」
といった、新しい疑問が出てきます。
今回の研修を通じて改めて感じたのは、福祉施設の生成AI研修には、「何ができるか」を知るだけではなく、「どう付き合うか」を考える時間が必要だということです。
まず、自分たちの職場ではどこに困りごとがあるのか。
その中で、どこならAIを安全に活用できそうなのか。
そこから一緒に考えていくことが、無理のない生成AI導入につながります。
福祉法人・社会福祉協議会向け生成AI研修を承っています
ハナサクAIでは、滋賀県を中心に、福祉法人・社会福祉協議会・福祉施設等を対象とした生成AI・AIリテラシー研修を行っています。
ChatGPTやGeminiなどの基本操作だけではなく、
- 生成AIを安全に利用するための基礎知識
- 個人情報・機密情報を扱う際の考え方
- AIの回答を確認・評価する方法
- NotebookLMなどを活用した組織内情報の活用
- 実際の業務を題材にした生成AI活用
- 組織として生成AIを導入する際のルールや運用の考え方
など、職場の状況や参加者のAI経験に合わせて内容を設計しています。
「職員が個人的に生成AIを使い始めているが、組織として何から考えればよいか分からない」
「まずは職員向けにAIリテラシーを学ぶ機会をつくりたい」
「生成AIを業務効率化だけではなく、法人内の情報活用にもつなげたい」
といった段階からでもご相談いただけます。
滋賀県内をはじめ、福祉法人・社会福祉協議会等での生成AI研修、AIリテラシー研修、生成AI導入支援について、当HPのトップページ『お問い合わせ』ボタンからお気軽におたずねください。


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