介護保険の対象者は?40歳からでも使える場合がある!いろんなケースを知っておこう

モップくん
介護保険制度は、日本の高齢者や特定の疾患を持つ方々の生活を支援するための重要な制度!
ここでは、介護保険の対象者について詳しく解説しますね。
目次

1.利用できる対象者① 65歳以上の方

65歳以上の方は、年齢に関係なく介護保険の対象となります。ただし、介護保険料を納付していることが条件です。
これは、年齢に伴う身体機能の低下や病気などにより、日常生活に支障をきたす場合が多いためです。具体的には、要介護認定を受けることで、介護サービスを利用することができます。介護認定には、要支援1.2および要介護1~5の7段階があり、それぞれの段階に応じたサービスを受けることが可能です。

65歳以上の全ての方が対象になります。
要介護認定の結果「要支援」「要介護」と認定されれば、介護保険サービスを利用できます。

介護保険の65歳以上の認定者数はどれくらいの割合?

厚生労働省『介護保険事業状況報告(令和3年6月暫定版)』によると、第1号被保険者のうち要介護(要支援)認定者数は約18.8%となっています。65歳以上の方の5人に1人は介護保険の認定を受けているということですね。

利用できる対象者②:40~64歳で、以下のいずれかに該当する方

40歳から64歳の方は、特定の病気にかかっている場合に介護保険サービスを利用できます。これは、若い方でも病気によって介護が必要になるケースがあるためです。対象となる病気は、厚生労働省が定める「特定疾病」に該当する必要があります。また、40歳以下の方は介護保険サービスは利用できません。

解説モップくん
2020年の第2号被保険者は4193万人。うち要介護及び要支援認定者数は13万人なので、第2号被保険者の認定率は 約0.31%だよ

ではここからは、特定疾病とはどんな疾病なのか、どんな場合が該当するのかを詳しく見ていきましょう。

1.がん(がん末期)

医師が回復の見込みのない状態(余命6か月程度)と判断したがんに限ります。抗がん剤などの治療が行われていても、症状緩和が目的で治癒困難な状態にある場合は、特定疾病にあたるとされます。

2.関節リウマチ

関節リウマチは、全身の関節に炎症が起こり、痛みや腫れ、関節の変形を引き起こし自己免疫疾患です。特徴的な症状として、朝のこわばりが1時間以上続いたり、複数の関節が同時に腫れたりすることがあり、X線や血液検査で診断されます。

3.筋萎縮性側索硬化症(ALS)(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、運動神経細胞の異常により筋肉が萎縮し、筋力が低下する原因不明の神経変性疾患です。指や下肢、顔、喉などに発症し、初期症状としてボタンが留めにくい、つまずく、食べ物が飲み込みにくいなどがあります。特定疾病と判断されるためには、「成人発症である」「進行性である」という条件を満たし、基準となる症状の有無や針筋電図所見が必要です。

4,後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)

後縦靭帯骨化症は、背骨の中を縦に通る後縦靭帯が骨化し、感覚障害や運動障害などの神経症状を引き起こす病気です。50歳前後で発症することが多く、特に頸椎で発症することが多いです。重症化すると、歩行障害や排せつ障害などの日常生活に影響が出る症状が現れます。特定疾病と判断されるためには、自覚症状や身体所見、脊椎X線像所見が必要で、それらの症状が靱帯骨化と因果関係があると認められる必要があります。

5.骨折を伴う骨粗しょう症

骨粗しょう症は、骨の量と強度が減少する病気です。加齢や栄養不足、運動不足などが原因で、骨がもろくなり骨折しやすくなります。腰が曲がったり身長が縮むこともあります。診断は、腰椎の骨密度や脊椎のX線検査で行います。骨密度の低下による骨折が認められた場合、特定疾病として扱われます。

6.初老期における認知症

40歳から64歳で発症する認知症は「若年性認知症」と呼ばれ、介護保険の特定疾病に該当します。認知機能や判断力の低下により日常生活が困難になる場合があり、記憶障害や失語などの症状がみられます。ただし、頭部外傷後遺症やアルコール性認知症は対象外です。

若年性認知症を引き起こす可能性のある代表的な疾患
・血管性認知症
・アルツハイマー病
・前頭側頭葉変性症
・レビー小体型認知症
・頭部外傷後遺症(※特定疾病対象外)
・アルコール性認知症(※特定疾病対象外)

モップくん
若年性認知症に関してはこちらのガイドブックを参照してくださいね!

7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病【パーキンソン病関連疾患】

ふるえや筋肉のこわばりなどの運動障害が特徴の疾患です。進行性核上性麻痔では眼球障害が、大脳皮質基底核変性症では片側の動きがぎこちなくなる症状が現れます。パーキンソン病は、ふるえや動作緩慢、姿勢障害が特徴的です。特定疾患と認定されるには、ゆっくりとした進行経過や失行など一定の条件を満たす必要があります。

8.脊髄小脳変性症

脊髄小脳変性症は、小脳の障害により脳からの指令がうまく伝わらなくなり、体を思い通りに動かせなくなる病気です。主な症状は、歩行時のふらつき、手の震え、ろれつが回らないなどです。原因は完全には解明されていませんが、約30%が遺伝によるものとされています。進行すると寝たきりになる可能性もあります。診断は、専門医が症状や画像検査の結果などを総合的に判断して行います。

9.脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症は、加齢などによって脊椎が変形し、脊柱管が狭くなることで神経が圧迫され、痛みやしびれが生じる病気です。主な症状として、手足や胴体の痛み、しびれのほか、歩行中に腰や足に痛みやしびれが生じ、休むと一時的に回復する「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」があります。進行すると、歩行困難、筋力低下、排尿、排便障害などを伴う場合もあります。
診断には、頚椎、胸椎、腰椎のいずれかで脊柱管の狭窄が確認され、その狭窄と症状との因果関係が認められる必要があります。

10.早老症

早老症(早期老化症)は、遺伝の異常により年齢よりも早く全身に老化現象が現れる病気の総称です。ウェルナー症候群やプロジェリア症候群など10の疾患が含まれ、特ウェルナー症候群は日本人に多く見られます。
主な症状としては、20代頃から若年性白内障、白髪、脱毛、骨粗しょう症などの老化現象が顕著に現れます。

11.多系統萎縮性

多系統萎縮症は、30歳以降に運動失調やパーキンソン症状などが現れ、徐々に進行する神経変性疾患です。
この病気は、主に3つのタイプに分類されます。

オリーブ橋小脳萎縮症: 早期から小脳などが萎縮し、運動失調、排尿障害、起立性低血圧などの症状が現れます。
線条体黒質変性症: パーキンソン病に似た症状で発症し、筋肉の収縮や運動困難などが起こります。
シャイ・ドレーガー症候群: 発症初期に起立性低血圧や排尿障害などの自律神経症状が中心に現れます。

これらの症状は個人によって異なる程度で組み合わさり、症状や神経機能検査などをもとに、特定疾病と診断されます。

12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症

糖尿病の三大合併症である糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症は、糖尿病が進行することで発症する特定疾病です。これらの病気は、糖尿病の診断基準を満たし、各疾病の定められた基準に該当する場合に認定されます。

13.脳血管疾患

脳血管疾患とは、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など、脳の血管の異常によって生じる病気の総称で、主な原因は高血圧や生活習慣病です。これにより手足や顔の片側の麻痺、記憶障害、言語障害などの症状が現れます。外相が原因の脳血管疾患は、介護保険の特定疾病には該当しません。診断は臨床症状やCT・MRIの所見に基づいて行われます。

14.閉塞性動脈硬化症

閉塞性動脈硬化症は、動脈硬化によって血流が悪くなり、主に足に冷感やしびれ、痛みが生じる病気です。進行すると、安静時の痛みや潰瘍、壊死が発生し、場合によっては足の切断が必要になることもあります。特定疾病として診断されるには、これらの症状に加え、画像検査で動脈の閉塞が確認される必要があります。

15.慢性閉塞性肺疾患

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、慢性気管支炎や肺気腫、気管支ぜんそくなど、肺の機能が低下する病気の総称で、主に喫煙や大気汚染が原因です。息切れ、咳、痰が長期間続き、気流閉塞が確認されると特定疾病として診断されます。

16,両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

変形性関節症は、加齢やけがなどでひざや股関節が変形し、痛みや腫れ、機能低下を引き起こす病気です。初期は休むと痛みが和らぎますが、進行すると日常生活に支障をきたします。レントゲン検査や痛みの程度、日常動作のチェックで、特定疾病として診断されることがあります。

まとめ

介護保険でカバーされる内容について詳しく見てきました。この制度をよく理解し、上手に活用することで、一歩先を見据えた備えを整えていきましょう。

 

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