2024年5月、Googleがアメリカのすべてのユーザー向けに「AI検索モード」を正式にスタートさせました。これまでのように検索結果を自分でクリックして探す時代から、AIが答えをまとめて教えてくれる時代へと、検索の形が大きく変わろうとしています。
そんな中で注目されているのが、AEO(Answer Engine Optimization)という新しい考え方です。
この記事では、SEOとの違いから、今なぜAEOが大切なのか、そしてどうやって対策すればいいのかをわかりやすくご紹介します。

2025年5月現在の日本における検索エンジン利用状況
2025年3月時点での日本国内検索エンジンのシェアは、以下の通りです。
順位 | 検索エンジン | シェア率(全体) |
---|---|---|
1位 | 約80% | |
2位 | Yahoo! | 約9〜12% |
3位 | Bing | 約6〜9% |
4位 | YANDEX | 約0.6% |
5位 | CocCoc | 約0.6% |
6位 | DuckDuckGo | 約0.3% |
こうして見てみると、日本では今もGoogleが圧倒的なシェアを誇っていて、多くの人が日常的にGoogle検索を使って情報を探しています。
ですが、AIモードタブがGoogle検索のUIに加わることで、検索方法そのものは、ここ数年で大きく変わる可能性がありますね。
SEOは“人に見つけてもらう”工夫、AEOは“AIに選んでもらう”工夫。
特に最近は、検索バーにキーワードを入れて「自分で探す」のではなく、AIに質問して「答えをもらう」スタイルが広がってきています。
その変化に合わせて、私たちのコンテンツの作り方や届け方も見直す必要が出てきているのです。

「SEO」とは、Googleなどの検索エンジンで、自分のサイトが検索結果の上の方に表示されるように工夫すること。つまりたくさんの人に見てもらうための工夫。
「AEO」は、最近のAI検索の広がりに合わせて出てきた新しい考え方。AEO(Answer Engine Optimization)とは、「AIに答えとして選んでもらう」ための工夫。
AI検索では、ユーザーが質問を入力すると、AIがいろんなサイトの情報を集めて、その場でわかりやすく答えてくれます。つまり、わざわざいくつもサイトをクリックしなくてもよくなるんですね。
このように、直接サイトに来てもらうことよりも、AIに「信頼できる情報」として紹介されることが重要になってきているんですね。
今AEOが注目される5つの理由
① 生成AIの急速な広がり
最近では、ChatGPT(OpenAI)、Claude(Anthropic)、Gemini(Google DeepMind)などの生成AI(文章を自動で作ってくれるAI)が、仕事でも日常生活でも当たり前のように使われるようになってきました。
特に若い世代やビジネスパーソンを中心に利用が広がっていて、たとえば2023年5月のデータでは、日本国内だけでもChatGPTの月間アクセス数が約767万件にものぼっています。
これまではGoogleなどの検索エンジンでキーワードを入力して調べるのが主流でしたが、最近では「AIに直接質問して答えてもらう」という形に変わりつつあります。
この変化によって、ユーザーが情報を探す方法そのものが変わってきているんですね。
② 検索エンジンにもAI機能が組み込まれた
生成AIの人気が高まったことで、GoogleやMicrosoftなどの検索サービスも大きく変化しています。
Googleは「AI Overview(以前はSGEと呼ばれていた機能)」を導入し、検索結果のいちばん上に、AIがいろんなサイトから情報をまとめた“答え”を表示するようになりました。
この答えは、ユーザーが知りたいことを一目で理解できるように整理されていて、クリックしなくても済むケースが増えてきました。
MicrosoftのBingも「Copilot(コパイロット)」というAIチャット機能を搭載していて、今の検索エンジンは「情報を探す道具」から「質問に答えるパートナー」へと変化しています。
日本では、Softbank・Y!mobile・LINEMOユーザー向けに「Perplexity Pro(有料プラン)」が1年間無料で使えるキャンペーンが実施中で、従来の検索に変わって「パプる」状況も生まれています。
③ 「ゼロクリック検索」が増えている
AIが答えをその場で提示してくれるようになったことで、検索結果をクリックせずに終わるケースが増えています。これを「ゼロクリック検索」と呼びます。
アメリカの調査では、検索の約6割がクリックされないまま終わっていて、日本でもその傾向が強まっています。
つまり、検索結果の上位に表示されても、実際にサイトを訪れる人が減ってしまう可能性があるということです。
このような状況では、SEOだけに頼るのではなく、「AIに答えとして選ばれる」ための対策=AEOがとても大切になってきます。
④ AIエージェントが活躍する時代がやってくる
今後は、「AIエージェント」と呼ばれる、私たちの代わりに情報を調べたり、商品を選んで注文してくれるAIの時代が来ると言われています。
たとえば「おすすめの炊飯器買っておいて」とAIにお願いすれば、AIがいろいろ調べて、最適な商品を選んで買ってくれるような未来です。
そのときに重要になるのは、「自分のサイトや商品が、AIにちゃんと理解されて、正しく評価されるかどうか」。
そのために、情報を整理してわかりやすく伝えること=AEOの取り組みが必須になります。これができていないと、AIにスルーされてしまう可能性もあるんです。
⑤ 音声検索が当たり前になってきた
スマートフォンやスマートスピーカーの普及により、「明日の天気は?」「近くのカフェを探して」といった「声で検索する」ことも日常的になってきました。
音声検索では、画面にずらりと検索結果を並べることができません。だからこそ、AIは「もっとも適した1つの答え」を選び、読み上げる必要があります。
つまり、音声検索で選ばれるには、その問いに対して“的確でわかりやすい答え”を持っていることが重要であり、まさにAEOが力を発揮する場面なのです。


AEOに強いコンテンツを作るための6つのコツ
ここまで見てきたように、検索のしくみがどんどん変わってきている今、ただサイトを作って待っているだけでは、ユーザーにもAIにも届きにくくなってきています。
では、そんなAI時代に、私たちはどんな工夫をすれば、AIに選ばれる存在として見つけてもらえるのでしょうか?



① よくある質問に答えるコンテンツを作る
AEOでまず大事なのは、「ユーザーが知りたいこと」にきちんと答えることです。たとえば、「AEOって何?」「AI検索にはどう対応すればいいの?」といった疑問を想定して、そのまま記事にしましょう。
検索する人は「自分の悩みや疑問をすぐに解決したい」と思っています。そういった気持ちに寄り添いながら、シンプルで親切な答えを用意することが、AIにも人にも好かれるコンテンツへの第一歩です。
② 答えを最初に簡潔にまとめる
記事の最初の段落に「この質問への答えは〇〇です」とズバリ結論を書くことで、AIがその部分を要約としてピックアップしやすくなります。
その後に「なぜそうなのか」「どうすればいいのか」といった詳しい説明を追加していくと、読み手にとっても理解しやすくなります。
これは、“結論ファースト”の構成と呼ばれ、最近のWeb記事ではとても重要な考え方です。応答エンジンがページ内容を把握しやすく、回答候補として抽出される可能性を高めます。人もAIも、最初に答えがあると安心して読み進められるんですね。
③ Q&A形式のページもおすすめ
FAQ(よくある質問)ページは、AEOとの相性がとても良いコンテンツ形式です。
QとAのセットになっていることで、AIが情報を「質問→答え」という形でスムーズに理解できます。
たとえば、1つのトピックに対して「基本情報」「使い方」「注意点」「他の選択肢」などを、それぞれQ&Aでまとめるのもおすすめです。
また、ユーザーが実際に検索していそうなフレーズを質問として使うと、より多くのニーズに応えられるページになります。
④ 構造化データでAIにわかりやすく伝える
AIがコンテンツを正しく読み取るためには、情報の整理整頓=構造化がとても大切です。
そのために使うのが「構造化データ(Structured Data)」という仕組み。これは、たとえば「この部分は質問ですよ」「この部分がその答えです」といったことを、決められたルールに沿って記述する方法です。これはAIが情報を正確に読み取るのに役立ちます。
ちょっと技術的に感じるかもしれませんが、SEO対策でも使われている基本テクニックなので、ぜひ取り入れてみてください。
⑤ 専門性・経験をアピール
AIやGoogleは、情報の「質」だけでなく、「この人の言っていることは信頼できるか?」という視点も重視しています。
その評価基準の一つが「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」という考え方。たとえば、自分の体験談、業界での実績、資格の有無など、その分野における“あなたの強み”をきちんと示すことが重要です。
個人ブログでも、実際に試してみたレビューや独自の視点があると、AIにとっては「役立つ一次情報」として認識されやすくなります。
大事なのは、誰が・どんな経験を元に語っているかを、はっきり見せることです。
⑥ 情報を定期的にアップデート
どんなに良い記事でも、古いままだとAIに「今の情報ではない」と判断されてしまう可能性があります。
特に、AI検索は「最新情報」を重視する傾向があります。たとえば「2023年のトレンド」などの表記があれば、定期的に「2024年版」などに更新する必要があります。
また、新しい技術やサービスが登場したときは、その変化に対応する形で記事をアップデートしていくのが理想です。
更新履歴を明記したり、「〇月〇日更新」といった表記を加えるだけでも、AIに「この情報は新しい」と伝わりやすくなります。
まとめ|AIに「答え」として選ばれるために
これからの検索は、「自分でキーワードを入力して、たくさんのリンクの中から自分で選ぶ」というスタイルから、AIに自然な言葉で質問し、その場で“最適な答え”を受け取るというスタイルへと、大きくシフトしています。
私たちは今、「調べる」から「教えてもらう」へと、情報との向き合い方そのものが変わる転換点に立っていると言えますね!
大切なのは、難しい技術に挑むことよりも、「ユーザーが本当に知りたいことに、やさしく正確に答える」という原点を忘れないことです。
よくある質問に答えたり、情報を分かりやすく整理したり、自分の経験を伝えたり。そうした一つひとつの積み重ねが、AIにもユーザーにも信頼されるコンテンツへとつながっていきます。
時代の変化を前向きにとらえて、AIにも選ばれる“頼れる情報発信者”を一緒に目指していきましょう。


コメント